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採用・雇用の理解を深める「千代田CULTURE x TECHアクセラレータープログラム2025」DAY2を開催

Day2のテーマは「人材」

講師の松山氏によるプログラム

 8月22日(金)、「千代田CULTURE x TECHアクセラレータープログラム2025」DAY2を開催しました。この日のテーマは「人材」です。講師に東京圏雇用労働相談センター相談員の松山太郎氏(玉川法律事務所 代表弁護士)をお招きして、『成功に必要な人材と出会うために ~スタートアップ企業が知っておくべき採用・雇用契約を学ぶ~』をテーマに、プログラムを行いました。

 採択者の皆さんは経営者として人材の悩みを持つ方も多いため、事前に質問を受け付け、ニーズを把握したうえで座学を実施することを松山氏が立案。社労士の方にもお越しいただき、ケーススタディも交えながら採択者と講師陣が意見交換をして、採用・雇用に関する理解を深めていきました。

雇用と業務委託の違いを知る

講師陣と採択者が意見交換が重ねた

 まず、松山氏から「採用計画時に気を付けること」として「雇用と業務委託の違い」が示されました。正社員・契約社員・パートなどを対象とした「雇用」としたほうがいいのか、請負・準委任などが対象となる「業務委託」にしたほうがいいのか、悩ましいものです。事業成長のためには、遅かれ早かれ従業員の雇用が必要になりますが、松山氏は「どちらが良いかではなく、事業の進捗に応じて採用形態を使い分けていく」と説きました。

 また、採用計画の立案から入社後の人材育成にあたっては、法律で定めた雇用ルールを理解する重要性も改めて強調されました。さまざまな判例も、雇用指針を検討するヒントになるそうです。具体的に採用を考える機会も多い採択者の皆さんは、講師の話を自分事として聞き入り、質問も活発にしていた様子が印象的でした。

ケーススタディで学ぶ…「名称より実態が重要」

松山氏(写真右)より様々なケーススタディが示された

 ケーススタディも採用・雇用に関して理解を深めることにつながりました。例えば、ある判例をもとに「業務委託ではなく雇用ではないのか?」という問いが示されたときには、背景を紐解きながら、答えを探っていきます。松山氏は「契約の名称より実態が重要」として「業務委託のつもりが、実態によっては雇用と見られてしまうことがあるので注意してほしい」と指摘しました。参加者からは「雇用か業務委託か、ケースによってどちらに該当するかまでは何となく分かっていても、理由まで具体的に求められると難しい」という声や、自身の常識や経験から導かれる認識との差異を感じている方も多く、知識をアップデートする機会となりました。

 また、内定時のケーススタディにも取り組みました。「経歴詐称・隠された経歴があった場合、内定の取り消しができるか」という問いについては、解雇ではなく単に退職したことを職務経歴書に書いていない場合の対応まで議論が及びます。松山氏は「経歴詐称があったかだけではなく、会社の運営に支障をきたすか、背信性が高いかなども判断のポイントになる」とアドバイスを送りました。

テーマが人材とあって質疑も活発に

 さらに内定後、内定者のSNSで差別的な発言が発覚した場合、内定を取り消すことができるのかというケーススタディも行われました。昨今、従業員のSNS活用はメリットにもなりますが、その活用内容によっては所属企業のレピュテーションリスクにもつながります。松山氏からは、採用プロセスにおける「調査必要性」や「チェックリスト作成」が対応策として示されました。内定取り消しができるかどうかは慎重な判断が求められるだけに、そのプロセスまで目を向けることがポイントになります。

 このほかにも、試用期間、人事評価、退職後のトラブル防止などのケーススタディも実施されました。プログラム参加者が採用・雇用の理解を深めて、フェーズに応じた適切な人材活用によって、事業成長していく未来に期待したいところです。

Day3は「法務」がテーマ

 マーケティング、人材と学びを深めてきた中、Day3(9月2日)のテーマは「法務」になります。法律事務所ZeLo 弁護士の伊藤龍一氏(第一東京弁護士会所属)を講師に迎えて『スタートアップと大企業の業務提携における契約実務解説セミナー』を開催します。区内スタートアップの成長に向けたサポートは続いていきますので、ご期待ください。

【採択者の詳細はこちら】千代田CULTURE x TECHアクセレータープログラム2025採択企業が決定しました